世田谷区商店街振興組合連合会
専務理事 小田桐庸文さん
世田谷区職員として工業・雇用担当課の経験と、世田谷区産業振興公社理事として区内産業振興に関わった経験を活かし、区内商店街・商店会の支援に取り組まれています。
世田谷Living世田谷 ライター。
”世田谷生まれ、世田谷育ち”で地元をこよなく愛する。
旅行と音楽が好き。週末は美味しいお酒とご飯を求めて、好きな曲を聴きながら知らない街を散策するのが趣味。
ライター以外にも、秘書やHP制作アシスタントとして活動する複業ワーカー。
撮影を行う時のみマスクを外して撮影させて頂きました。
(※通常は全スタッフが常にマスクをつけてコロナ対策をおこなっております。
せたがやPayとは?
概要
早速ですが、「せたがやPay」とはなんでしょうか?
簡潔に言うと、「世田谷区内で使えるキャッシュレス決済」のことです!
せたがやPayとは・・・
世田谷区内の消費活動・経済循環を促進させるとともに、
行政ポイントやスマートフォンアプリを通じた情報発信などを通じて
地域住民・事業者間の「つながり」や「助け合い」を推進することを目指した
世田谷区の未来のためのデジタル地域通貨アプリです。
なるほど・・・!
ただ支払いができるだけではなく、「世田谷の情報」や「地域のつながり」なども知ることができるシステムということですね!
はい!
世田谷のお店、世田谷に住んでいる区民の方々、世田谷を利用してくださる方々・・・
そんなすべての皆様を応援しながら、「世田谷の魅力をもっと知ってもらい、もっと好きになってほしい!」という想いで運営・活動しています!
運営している「中の人」が知りたい!
開発された方や運営している皆様が知りたいです!
せたがやPayは、
①世田谷区商店街振興組合連合会
②世田谷区
③株式会社フィノバレー
が役割分担をしながらチーム一丸となって開発・運営を行っています。
世田谷区商店街振興組合連合会
区内の商店街(会)の商業の振興、各商店街(会)で行うイベントの支援など商店街の活性化を支援している。
せたがやPayでは、世田谷区が目指すデジタル地域通貨の開発と定着に向けて、区・システム運営事業者および区内商店街(会)等のせたがやPay加盟店との連絡調整を担当している。
世田谷区
せたがやPayが区内の商店街(会)や地元の個店、区民の生活を支援するキャッシュレス決済となるよう、区をあげて様々な支援を実施している。
株式会社フィノバレー
デジタル地域通貨の老舗ともいわれる、デジタル地域通貨の先駆け的プロダクトを実施している会社。
デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」を開発。
せたがやPayでは開発・管理、事務局運営、推進活動を担当している。
役割分担をされながら、多くの方々が携わっているんですね!
他のQR決済とは何が違うの?
せたPay以外にも、「〇〇Pay」と名前がつくQR決済は今たくさんありますよね。何か違いはありますか?
大手のキャッシュレス決済との明確な違いは、ずばり「目指しているゴール」です!
大手企業のキャッシュレスサービスは「営利目的」であるのが一般的です。
そのため、顧客獲得や囲い込み、売上に繋げるための仕組みとしてキャッシュレス決済を運営されているかと思います。
たしかに、企業は「お客様の獲得」や「売上をあげるための手段」として、登録してもらいやすいサービスを導入しますよね!
そうなんです。
一方せたがやPayは、「世田谷区を元気にすること」 「区民の皆様の暮らしを豊かにすること」が最終目標=最大のゴールなのです!
な、なんと・・・!でも、言ってしまえば、せたPayもただのキャッシュレス決済ですよね・・・?
そんな大きな目標が、せたPayで本当に実現できるんですか!?
ここだけの「せたがやPay」誕生秘話
せたPayが生まれたきっかけ
そもそも、せたPayはどうやって生まれたのでしょうか?
元々、世田谷区商店街振興組合連合会では、【商品券事業】を毎年実施していました。
【商品券事業】ですか?
はい。中小の個店さんを支援したり、お客様への消費喚起のために、世田谷区内共通商品券を発行する事業です。
商品券のコアなファンもいらっしゃいますが、長年の課題がありました。
それは、紙の商品券が使われる7割以上が大型店や大企業であること。
つまり、なかなか中小の個店さんで使ってもらえないという課題でした。
なるほど・・・本来の目的は「商店街や中小の個店さんの活性化」だったのに、そちらのお店ではなかなか使われなかったのですね・・・
そうなんです。
また、昨今のコロナ禍により、経済活動のキーワードとして注目されていたのが「非接触」でした。
①紙の商品券ではなく、電子商品化したほうがいい
②コロナ禍で非接触が重要視されていた
以上の理由から、走りだしている「地域電子通貨アプリ」を導入して中小の個店さんを幅広く支援し、区民の皆さんの生活もサポートしよう!というのがきっかけとなり、せたPayが2021年2月20日にスタートしました。
せたPayに関わっている方々の想い
運営の皆さんは、どのような想いでせたPayに携わっていますか?
やはり1番は、
世田谷のお店・住んでいる人
世田谷に関わってくれている方全員
そして何よりも「世田谷区」を応援して元気にしたい。
より世田谷をもっと知ってもらい、愛着を持ってもらいたい。
そんな想いのもと運営しています。
契約店舗・登録者数が増えるまでの苦悩
これまでに大変だったことはありますか?
まず大変だったことは、せたがやPayの認知を拡大すること。
ユーザー様にも店舗様にも、「せたPay」という新しいものを受け入れてもらう、せたPayの意図や主旨を理解し賛同してもらうことが、第一の壁でした。
たしかに、新しいものを受け入れてもらうには時間がかかりますよね・・・
はい。せたPayは3ヶ月弱という短い準備期間でスタートしたので特に大変でした。
さらに難しかったのが、ユーザー数と加盟店数を確保すること。
個店さんには「利用するユーザーが少なすぎる」と言われてしまい、
ユーザーさんからは「使える加盟店が少なすぎる」と言われてしまう・・・
当初、加盟店はわずか400店でしたが、その400店に到達するのでさえ苦難の道のりでした。
ユーザーは使えるお店が少ないから登録しない、お店は利用するユーザーが少ないから登録しない・・・
これは難しい堂々巡りですね・・・泣
そうなんです。
担当者が自ら直接お店に出向いて営業をかけたり、力を合わせて試行錯誤を続けました。
大反響だった「せたがや全力応援祭」
「お店」も「お客様」も嬉しいキャンペーン
そんな難しい状況から、どうやってここまで利用者や加盟店が増えたのでしょうか?
最も大きかったのが、2021年夏から2022年1月まで行った大規模なキャンペーンです!
ユーザーには「利用額の20%還元」、そして加盟店には「対象期間の決済額の5%還元」というものでした。
ユーザーもお店も嬉しいキャンペーンだったんですね!
ユーザーさんにも中小個店さんにもメリットのあるキャンペーンを打ち出せたことで、利用者数・加盟店数を増やすことができたと思います◎
利用者からはどんな声をいただきましたか?
消費者の皆様からは、
・キャッシュレスを初めて使ってみた
・知らなかった地元のお店を自分から探すきっかけになった
・せたpayを通して地元の素敵なお店を知れた
・新しいお店との出会いがあった
といったお声をいただきました!
お店の皆様からは、
・キャンペーンによって新規のお客様が増えた
・常連さんもたくさん使ってくれた
・せたPayを通して地元の人とのコミュニケーションが増えた
・お店の売上の補填ができて助かった
と言っていただけました!
お客様もお店も、せたがやPayを通して地元の人との交流や新しい出会いが広がったんですね!
はい!まさに、私たちが想っていた「より世田谷を知ってもらい、愛着を持ってもらいたい」という結果にも結びついたと思っています。
登録店舗は約10倍、登録者は約25万人に!
最近では、「せたがや全力応援祭」も話題でしたよね!
ありがとうございます!
「せたがや全力応援祭」は利用額の30%が還元されるというキャンペーンでした。
お陰様で大変ご好評をいただき、当初の想定期間を待たずして予算に達するほどでした!
せたPayがスタートした最初の1年間の売上総額は約26億円でしたが、「せたがや全力応援祭」開催時は、11月だけでなんと約37億円の売上になりました。
キャンペーン期間の7月~11月ですとおよそ60億円以上、ポイントも含めると約70億円の経済効果がありました!
たった1ヶ月で1年間の売上を10億も上回ったんですね!これはすごい!!
テレビ・マスコミからも注目された理由とは?
他にも「せたがや全力応援祭」の反響はありましたか?
最も大きかったのが、テレビやマスコミで取り上げてもらえたことです。
朝の番組や夜の番組など全国ネットで放送される番組もあり、その後の登録者数に大きく影響しました!
たくさんのマスコミに取り上げられた要因は何だったのでしょうか?
やはり「30%還元」という数字が大きかったことと、昨今の物価高の対策のひとつとしてマスコミでも取り上げやすかった、ということがあるかと思います。
物価高により消費者の購買意欲が下がっている中で、30%還元を行うことで消費喚起につながり、実際の経済効果も高かった!ということですね!
はい!テレビを視聴された高齢者の方からもお問合せをいただいたり、せたPayアプリのダウンロード数が大幅に上昇しました!
「せたPay利用」=「地元・世田谷を愛すること」
利用するだけで地域活性に貢献できる
最初に、せたがやPayの最終目標は「世田谷区を元気にすること」 「区民の皆様の暮らしを豊かにすること」と伺いました。
はい。世田谷区の中小の個店さん、商店街(会)でせたがやPayを使ってもらうだけで、世田谷区・そして世田谷区を利用する皆様の支援につながります!
それは一体どのような原理なのでしょうか!?
東京のどこで消費をしても経済は循環するし、その地域は活性するのでは?と思う方もいると思います。ですが、地域コミュニティの活性の中心にあるのは、今の時代においても「商店街(会)」なんです。
商店街がシャッター通りになってしまっていたり、個店がすべて閉まっている地域を見かけたことはありませんか?
あります・・・!
たしかに、街自体が少し寂しい印象を受けましたし、地域の治安も気になりました。
そうですよね。
商店街が廃れていくとその地域のコミュニティ自体も廃れてしまうことが多いんです。
だからこそ、地域の商店街や中小店舗を守ること、活性化することがその地域全体のコミュニティや治安を守っていくことにつながるんです。
「少しの不便さ」が「地元を愛するきっかけ」に
せたPayはこれまで様々なキャンペーンを行ってきましたが、30%還元で一瞬だけ盛り上がっても、それ以降に利用されなくなってしまえば本来の目的から外れてしまいます。
「キャンペーン中の1度だけの利用」ではなく、2度3度と繰り返して区内で利用してもらえるような仕組みづくりに取り組んでいます。
たとえば、チャージしてもらったお金にも、あえて有効期限を付けているんです。また、還元祭などで還元されたポイントについては半年などで有効期限が切れてしまうこともあります。
中には、少し不便だなと感じられる方もいるかもしれませんね(笑)
たしかに、他の決済アプリでは有効期限を気にしたことがありませんでした!
ポイントを貯めておくのではなく、どんどん使ってもらう。使うからこそお得だ!と思ってもらう仕組みを第一に考えています!
機能についても、他のQR決済アプリに比べるとまだまだ不便な部分もあると思います。
そんなところもちょっと楽しんでいただき、あえて自分の足で使えるお店を探しに街に出かけていただくことで、より地元のお店を知るきっかけ、世田谷区を愛するきっかけにしてもらえたら嬉しいと思っています!
せたPayで「行きつけの店」を探そう
QR決済アプリを使うことで新しいお店に出会えるというのは、地域通貨アプリならではの使い方ですよね!
そうだと思います。
せたPayが使えるのは、区内の中小個店さんや商店街(会)のお店がほとんどです。
今までチェーン店や大型店舗に行くことが多かった皆さんにもぜひ、せたPayのアプリを開いて街を散策してもらって「行きつけの地元のお店」を見つけてもらえたら嬉しいです!
今後の「せたPay」はどうなる?
さらに世田谷に密着したサービスへ
今後、せたPayはどうなっていきますか?
機能の面ですと、ユーザーにとって使い勝手をよくするために、口座連携を実装することも予定しています。
他にも、商店街サポートやスタンプラリー機能の追加など、より世田谷の地域に密着しつつ、使いやすさも向上させていけるよう励んでいます!
どんな方に利用してほしい?
今後はどんな方に利用してほしいですか?
加盟店様でいうと、商店街には加盟しているが、まだせたPayには加盟していない…という方だったり、街の魅力を自ら発信する力を持っている店舗様などと一緒に価値を高めていけたらいいなと思っています。
また、長く店舗を経営されていて店主さんがご高齢のお店や、普段は現金払いのみ、という店舗様にもせたPayを利用していただきたいです!
ユーザーですと、現在は40代・50代の皆様に多く利用いただいています!今後はその世代の方々はもちろん、若いユーザーの皆様にもどんどん普及してほしいと思っています!
最後に
それでは最後に、この記事をご覧になっている読者の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!
「せたがやPayを使う」ということが、必ず「世田谷区のどこかの補填になる」という仕組みになっています。
使えば使うほど世田谷区が元気になる決済システムなので、かわいい雑貨屋さんや行きつけの居酒屋さんなど、まだ知らない世田谷のお店を探してみたり、お気に入りスポットを見つけたり、ぜひ楽しんで利用してほしいです!
そして、私たちと一緒に「世田谷愛」を深めていただけたら嬉しいです!
せたPayは、世田谷区内で決済ができるだけではなく、世田谷区に住む人、世田谷区で働く人、世田谷区を利用する人、世田谷区に関わるすべての人々を豊かに、元気にする仕組みでした。
せたPayを携えて世田谷区に出かけたら、きっと新たな発見や楽しみが見つかるはず。
皆さんも、世田谷区への愛がたくさん詰まった「せたがやPay」をぜひ利用してください!
今日は本当にありがとうございました!